県段階の協同組合間連携の実態について

県域連携のニュース

はじめに

 2022年に都道府県の協同組合連携組織を対象に実施した実態調査の特徴点は次のとおりです。
(調査対象時点:2022年3月)

  • ■2018年より開始し、今回、5回目の調査。
  • ■調査対象:各都道府県の協同組合連携組織。
  • ■回答:46都道府県。(昨年比+1)
    • 一部、連携組織のない県からも回答受領。
  • ■概要
    • 連携組織の会員総数は、全国で475組織(昨年比+7)。
    • コロナウイルス感染症による影響を受ける一方で、生活困窮者支援など新たな連携、活動への取組がみられた。

以下、項目別に解説します。

1. 協同組合連携組織の結成状況

 県域における協同組合の連携組織は、各地域の自発的な動きとして作られてきました。42の都道府県に連携組織があり、会員総数は県域のJAグループや生協、漁協、森林組合など475団体と、多くの県で連携の土台が整っています。県によっては会員団体を拡大しようとする動きもあり、県域の連携組織に加盟する団体は、今後、増加していくと見込まれます。

  • 北海道
  • 青森
  • 岩手
  • 宮城
  • 秋田
  • 山形
  • 福島
  • 茨城
  • 栃木
  • 群馬
  • 埼玉
  • 千葉
  • 東京
  • 神奈川
  • 新潟
  • 富山
  • 石川
  • 福井
  • 山梨
  • 長野
  • 岐阜
  • 静岡
  • 愛知
  • 三重
  • 滋賀
  • 京都
  • 大阪
  • 兵庫
  • 奈良
  • 和歌山
  • 鳥取
  • 島根
  • 岡山
  • 広島
  • 山口
  • 徳島
  • 香川
  • 愛媛
  • 高知
  • 福岡
  • 佐賀
  • 長崎
  • 熊本
  • 大分
  • 宮崎
  • 鹿児島
  • 沖縄
41都道府県で協同組合の連携組織が結成 全国475組織が加盟

2. 設立年の分布

 もっとも古い組織は、長野県協同組合連絡会で、1971年の設立となり50年以上の歴史があります。その他も2000年以前に設立された比較的歴史の長い組織が42組織中21組織と半数を占めています。
 一方、設立年代別にみると2010年代が16組織ともっとも多くなっています。この年代に限ると、2013年に設立された組織が8組織と突出しています。これは2012年の国際協同組合年(IYC)を迎えるにあたって結成された準備委員会や実行委員会が母体となってIYC終了後に連携組織が設立されたためです。

(2010年代の内訳)

3. 加盟団体数の分布

 1組織あたりの加盟団体数は、少ないところは4団体、多いところでは84団体とバラつきがあります。会員が4または5団体の組織は、JA県中央会、県生協連、県漁連、県森連といった県レベルの連合会で構成されるケースがほとんどです。6~20団体の組織になると、労働者協同組合、労働金庫、こくみん共済coop、中小企業等協同組合、信用金庫、信用組合など幅広い協同組合が参加するようになります。会員数が20を超えるような組織になると単位組合(単協)やNPOが加盟しています。大きな傾向として、連携組織に単位組合(単協)が加わることで、活動が活発化することが分かっています。

4. 会員種別について

 会員種別をみると、JAグループがもっとも多く、次いで、生協、漁協、森林組合、労働金庫の順となります。ただ、全体に占める割合は少ないものの、労働者協同組合、こくみん共済coop、中小企業等協同組合、信用金庫、信用組合など幅広く、協同組合の裾野の広がりを感じることができます。なお、「その他」に分類された組織には、共栄火災、マスコミ、消費者団体、大学や研究所、NPOなどがあります。

5. 協同組合間連携事例について

 会員同士の連携の内容は、産直など事業上の連携をはじめ、ボランティアや協同組合まつりなどのイベント、学習会・講演会など多岐にわたります。県域組織からは、異業種の協同組合が連携することによって、個々の組織が持つノウハウや資源を活用して、広い範囲で課題解決ができたり、協同組合間で相互理解が進み、協力しやすい環境ができているといった声も聞かれます。

区分 2021 2022
1.イベント(フェスタ、まつりなど) 28 44
2.学習会、国際協同組合デー 51 49
3.子ども食堂・子どもの居場所づくり 4 6
4.フードバンク・フードドライブ 7 7
5.健康づくり 4 5
6.コロナ関連支援(販売支援、寄贈など) 3
7.買い物支援 2
8.高齢者の生活支援 1 1
9.学生の生活支援 6 5
10.植林、森林整備 4 7
11.清掃・クリーン活動 8 9
12.環境保護(保全活動) 3 4
13.商品開発 4 5
14.店舗連携 8 6
15.協同組合間の相互協定 7 5
16.大学寄付講座 2 6
17.生活困窮者支援(フードバンクを除く) 2
18.その他 14 14
154 177

連携事例・イベントの詳細はこちら

協同組合を広める大学での講座例

 若者に協同組合への関心を持ってもらうため、大学での寄付講座を開催して認知度向上に努めている県域組織もあります。講義は「協同組合論」に関するものが多く、県域組織を構成する個々の協同組合が順番に講師を務めることで、全体を通してバラエティに富んだ内容となっています。

県名 実施先 講座名
福島 福島大学 食農学類「協同組合講座」
茨城 茨城大学 「協同組合論」、「社会貢献論」
神奈川 関東学院大学
(公開講座)
2019:SDGsを実践する協同組合の世紀
 ~共生と多様性に満ちた社会の持続的発展
2018:協同組合の世紀
 ~共生と多様性に満ちた社会の持続的発展
福井 福井県立大学 「農業経済学」 (協同組合の活動について等)
岐阜 岐阜大学 「農業政策学」「農業・環境経済学」
愛知 名古屋市立大学 地域特色科目4「現代社会と人と地域のつながり」
金城学院大学 「協同組合論」
三重 三重大学 「協同組合論」
大阪 関西大学
(2022年度より)
商学部「大阪の支え合いの経済を考える」
愛媛 愛媛大学 法学・政策学特別講義「協同組合とは何か」
鹿児島 鹿児島大学 農学部「協同組合を知ろう」

6.関連リンク

茨城県 協同組合ネットいばらき facebook
東京都 東京の協同組合間の協力と連携のあり方を考える連絡協議会 HP
長野県 長野県協同組合連絡会 facebook
愛知県 NPO法人 地域と協同の研究センター HP facebook
広島県 広島県協同組合連絡協議会 HP