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「持続可能な」ということ(にじ 2018 夏号 No.664 オピニオン)

「持続可能な」ということ

勝又 博三
にじ 2018 夏号 No.664

 「持続可能な」、あるいは「持続可能性」という言葉を聞いたり、見たり、読んだりすることが、最近になって増えているように感じる。

 この4月1日からJC総研を組織再編してスタートした当機構(日本協同組合連携機構、JCA)は、その事業について(1)協同組合間連携の推進・支援・広報、(2)持続可能な地域のよりよいくらし・仕事づくりに向けた教育・調査・研究、としており、「持続可能な……に向けた」という形容で目指すべき調査・研究とその成果の方向性を示している。

 さらに、協同組合研究誌「にじ」をJCAとして発行する最初の号(通算664号)のテーマは、「持続可能な開発目標」(SDGs)である。

 「持続可能な」とか「持続可能性」というのは、流行り言葉なのか、たまたまの偶然で接する機会が多くなっているのか。

 振り返ってみると、生産の現場では、持続可能性があるのか、それとも乏しいのかは常に問われてきたのではないだろうか。

 例えば、耕地への施肥は生産量の確保だけでなく土壌の保全という持続可能性を高める観点からも行われている。日本ではあまり意識されないが、灌漑を含む淡水需要に応じるため、降雨による補充を上回る化石帯水層からの汲みあげが行われている。さらに、近年のシェールオイル・ガスの採掘がこの化石帯水層からの汲みあげに拍車をかけていて、「水の惑星=地球」の持続可能性を脅かしている。

 地域のくらしにおいても、持続可能性は課題であり、少子高齢化の進行が生活インフラの維持を困難にし、その地域に人々が住み続けることができるのかどうかといった問題が生じている。

 どうやら、「持続可能な」とか「持続可能性」は流行り言葉ではないようだ。英語ではsustainable 。手元の辞書では初出が18世紀とあるから、古くからではないが最近できた言葉でもないようだ。

 待てよ、この単語どこかに記憶がある。 協同組合原則の7の英文は、Cooperatives work for the sustainable development of their communities through…(下線、筆者) ではないか。先輩方が、「永続的な」と訳したり、「持続可能な」と訳したりで、訳語が統一されていない部分だった。

 こうしてみると、「持続可能な」あるいは「持続可能性」は、協同組合の事業や活動と強い親和があり常に意識すべきであること、さらにJCAを運営していくキーワードであることに確信が持てた。