世界の協同組合について


世界の協同組合について

国際協同組合同盟(ICA)とは

ICAは、1895年ロンドンに設立された世界の協同組合の連合組織であり(現在の本部:ブリュッセル)、世界各国の農業、消費者、信用、保険、保健、漁業、林業、労働者、旅行、住宅、エネルギー等あらゆる分野の協同組合の全国組織が加盟しています。2013年12月現在、ICAの加盟組織は94カ国271団体、傘下の組合員は世界全体で10億人を超え、世界各国に協同組合運動を広げ、協同組合の価値・原則の普及と協同組合間の国際協力の促進、世界の平和と安全保障への貢献等を目的として、情報発信、国際会議・セミナー等の開催、国連機関等への提言・意思反映活動等に取り組んでいます。

また、世界最大の非政府組織(NGO)として、国連経済社会理事会(ECOSOC)の諮問機関第1グループに登録され、また2002年には国際労働機関(ILO)が「経済社会の発展において、協同組合は世界のどの地域においても極めて重要である。(193号勧告)」とその役割の重要性を認める勧告を発表しました。このように、協同組合組織であるICAは国際機関からの高い評価を受けています。

(2013年12月現在)
地域 国数 組織数
ヨーロッパ 33 76
南北アメリカ 22 86
アジア・太平洋 25 80
アフリカ 14 25
国際機関 4
合計 94 271

国際協同組合同盟(ICA)の取り組み

ブループリントに沿った動き

<参加>

<持続可能性>

  • ICAはSustainability Solution Group(SSG)と共同で、協同組合モデルと持続可能性の関係性についての調査を行いました。本調査では、持続可能性に関して影響力のある文献から鍵となる概念を抜き出し、それを協同組合の7原則のキーワードと比較し、次に世界の様々な協同組合のホームページや年次報告と比較を行っています。調査結果は、持続可能性と協同組合の自己表現との間に明確で直接的な関係があることを示しています。

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  • ブループリントの目標の一つである「2020年までに協同組合事業形態は最も急速に成長する事業形態になる」の「成長」の概念を明確にするため、CICOPAはICAより委託を受け、報告書『21世紀の協同組合の成長』を作成しました。報告書は、7名の学者・専門家・実践家の意見を集め、協同組合へ適用される成長の概念への新たなアプローチを提示しています。結論として、新たな成長評価指標は、尊厳、連帯、民主制などの様々な価値観に基づき、経済的・社会的・環境的という3面的な考えで検討されるべきだと提案しています。

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<アイデンティティ>

  • ICAは、国際協同組合年の2012年に開催されたマンチェスター総会で、2020年に向けた世界の協同組合の戦略として、(1)参加、(2)持続可能性、(3)アイデンティティ、(4)法的枠組み、(5)資本、を柱とする「協同組合の10年に向けたブループリント」を決定し、このうち「(3)アイデンティティ」における取り組みの一つとして、協同組合原則の現代的な解釈指針(ガイダンスノート)の策定を提起しました。

    これを踏まえてICAでは、ICA理事会メンバー4名と専門家委員4名からなる「原則委員会」を設置し、2013年より検討を行ってきましたが、このたび、意見募集のためのガイダンスノート案が公開され、8月1日までICAウェブサイト上でコメントを受け付けています。

    このたび、日本協同組合連絡協議会(JJC)仮訳により、ガイダンスノート案の和訳ができましたので掲載します。ガイダンスノート案(和訳)はこちら(PDF)

    なお、今後ガイダンスノート案はコメントをふまえて、ICA理事会で決定され、本年11月のトルコ・アンタルヤでのICA総会で発表される予定です。

  • これまでのICAのロゴ、IYCのロゴに代わる新しいマークが2013年ケープタウンでの総会で発表されました。このマークは、2013年4月に実施したCo-operative Global Identity Survey(「協同」に対する考え、印象、イメージについての22の質問から構成)を基に、持続可能で民主的な事業体への世界的な力としての協同組合の結束、認知度、評価を強化することを目的に、イギリスの協同組合Calvertsによってデザインされました。

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  • 2012年ICA臨時総会で、1995年の協同組合原則に関する指針(ガイダンスノート)の作成が承認され、現在、ICA原則検討委員会は、原則のバックグラウンド文書として新たな指針の作成に取り組んでおり、第3原則(組合員の経済的参加)、第5原則(教育、訓練および広報)、第7原則(コミュニティへの関与)の指針案を提起しています。2014年5月15日までにICA会員からの意見を求め、原則検討委員会が案を作成し、次回2015年のICA総会(於トルコ・アンタルヤ)で正式に提案される予定です。

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<法的枠組み>

<資本>

  • ICAの協同組合資本の取り組みを具体化し、協同組合の原則やアイデンティティが損なわれることなく、協同組合の発展に向けた資本へのアクセス方法を見つける支援をするため、ブルーリボン委員会が設立されました。本委員会では、協同組合の発展と設立に資金を提供する既存の手段のメリット・デメリットを評価し、資本の公共手段、金融協同組合組織の役割、クラウドファンディングなどの革新的・独創的なメソッドについて考察していきます。

<ICA地域組織・部門別組織の戦略>

  • ICAの部門別組織であるCICOPA(産業・熟練工業・サービス生産者協同組合国際委員会)は、「協同組合の10年に向けた戦略文書」を策定しました。この戦略文書では、事業間の協同促進、地域間協同の強化、地域開発への貢献、労協の発展に向けた資金調達方法の確立、データ収集や基準作成の取り組み強化、法制化に向けた取り組み等、ICAのブループリントの5つの戦略目標に沿って、今後10年に向けた戦略が立てられています。

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  • ICAアメリカは、2013年10月6~11日に、ブラジルのサンパウロにて、「協同組合の10年:計画と可能性」をテーマとした第18回地域会議を開催しました。本会議は、経済・社会・環境の持続可能性において定評あるリーダー、人々に好まれる事業モデル、最も急速に成長する事業組織として、2020年における協同組合ビジネスモデルを強化するため、アメリカ大陸の協同組合間協同を促進することを目的に開催されました。

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  • ICAアフリカは、ICAブループリントを基に、2013~2016年の戦略「協同組合事業の恩恵を活用する」を策定しました。その戦略は、協同組合事業の恩恵を活用することで、組合員の社会経済的状況を改善するためにアフリカの協同組合運動の特別な開発目標に取り組むことを目的としており、協同組合やその会員組織の取り組みに対しきっかけを提供する政策や強力な組織にダイナミックな一貫性を提供しながら協同組合事業の恩恵を活用することに焦点を置いています。

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その他の動き

海外の協同組合の取り組み

ポストIYCの動き
  • 62ページにわたるIYCの最終活動報告書(英語・フランス語)が、カナダ協同組合協会(CCA)とカナダ協同組合・共済協議会(CCCM)により作成されました。本報告書には、カナダにおける国際協同組合年の取り組みについてのストーリーや写真が掲載されており、州別の取り組みも紹介されています。また、若者の関与、メディアによる紹介、政府との関係、IYC期間中に開催された特別イベントなど、テーマ別の取り組みについても書かれています。また、IYCの取り組みをまとめたビデオも作成されています。

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  • 2013年10月17日の国連総会第三委員会において、国連モンゴル政府代表部により提案された協同組合に関する決議案「社会開発における協同組合」が採択されました。その決議では、加盟国に対し、雇用創出、貧困・飢餓の撲滅、社会的保護に貢献する持続可能で成功した事業体として、協同組合を支援するよう求めており、具体的には、IYCの間に実施された活動を継続すること、協同組合の能力を強化・構築すること、協同組合の強み・価値・原則・持続可能な開発への貢献について認知度向上に努めること等を求めています。

    決議はこちらからご覧いただけます。

  • 国連事務総長の協同組合に関する報告書『社会的発展における協同組合と国際協同組合年』が第68回国連総会に提出されました。本報告書は、協同組合の規模、社会経済開発への協同組合の貢献について概観し、また、IYCの期間中に地域・国・国際レベルで実施された主な取り組みやイニシアチブを総括しています。また、2012年以降の協同組合の発展に向けた国際的な行動計画による協同組合の強化に関するセクションも含まれており、協同組合の成長と発展を促進するための結論と勧告を提示しています。

    報告書はこちらからご覧いただけます。

  • シンガポール協同組合連合会(SNCF)は、IYCを記念し、2012年に様々なイベントを開催しましたが、IYC以降も協同組合の発展に向け継続した取り組みを行う計画です。その一つとして、2013年9月1日に協同組合のお祭り「Come Together as One 2013」を開催しました。協同組合運動の組合員間のつながりを強化し、協同組合の認知度向上を目的に開催されたイベントでは、ウォーキング大会、夜の映画上映、屋台ゲーム等に加え、プラカードを使った「SNCF」の人文字作成が行われました。

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  • オーストラリアでは、ポストIYCの取り組みとして、協同組合・共済事業モデルの認知度向上と協同組合運動発展促進のため、「協同組合・共済ビジネス協議会(Business Council of Co-operatives and Mutuals:BCCM)」が7月29日に設立されました。BCCMは、協同組合研究、教育、政策提言の分野でリーダーシップを発揮することを目的としています。

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  • 国連・経済社会局(UN DESA)は協同組合・共済に関する世界的調査を開始しました。IYCにより、協同組合の包括的なデータの不足が明らかとなり、協同組合の発展の支援の仕方についての疑問が提起されたため、UN DESAは、協同組合に関する既存の総合データを整備し、協同組合に関する新たな情報源を追加していく取り組みを開始しました。調査は8月に開始され、集約結果は2013年の終わりに公表される予定です。

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  • 国際協同組合デーを記念し、ニューヨークの国連本部で、「危機にこそ強い協同組合」をテーマにしたパネルディスカッションが開催されました。このイベントは、FAO、ILO、ICAとの協力の下、国連経済社会局・社会政策開発課と国連モンゴル政府代表部により開催されました。パネルディスカッションでは、回復力のある社会の構築に貢献する危機下における協同組合の可能性、人々のエンパワーメントへの協同組合の貢献、危機下における包摂的な社会の構築への協同組合の貢献、協同組合に関する国際的な行動計画作成の重要性について議論されました。

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  • カナダの2つの全国組織であるカナダ協同組合協会(CCA)とカナダ協同組合・共済協議会(CCCM)は、IYCを契機に、共同で様々な取り組みを行ってきましたが、2013年6月26~28日カナダのエドモントンで行われたCCAとCCCMの合同会議で、カナダの全協同組合事業を代表する新たなバイリンガル全国組織「Co-operatives and Mutuals Canada」を2014年初めに立ち上げることを確認しました。19世紀のカナダの協同組合運動誕生以来、英語圏とフランス語圏の協同組合関係者は言語の壁で分断されていましたが、新たな全国組織の設立により、カナダの協同組合運動促進に向けたさらなる協同の取り組みが行われます。

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  • 国連・協同組合担当は、若者協同組合と若者のために/とともに取り組む協同組合に関するオンライン調査を行いました。この調査は、IYCの勢いを継続し、若者の雇用と起業促進における協同組合の役割を強調することで、国連事務総長が5カ年行動指針の優先事項の一つとして掲げた「若者との取り組み」に貢献することを目的に行われました。

    国連のIYCホームページには、オンライン調査に回答した若者協同組合・若者のために/とともに取り組む協同組合の概要、所在地、事業内容を示した地図が掲載されています。

    調査の報告書はこちら

  • フィンランドIYC実行委員会は、IYCの活動をまとめた報告書を発表しました。本報告書では、IYC期間中に実施されたイベント、キャンペーン、若者による/のための取り組み、そして、IYCの最も重要な取り組みの一つとして、フィンランド協同組合協議会によるラッペーンランタ工業大学の協同組合マネージメントへの寄付講座が紹介されています。寄付講座は、協同組合とそのマネージメントに関する新たな科学的研究を生み出し、協同組合のガバナンスの発展のための資源を確立することを目的として、2013年から2017年の間実施されます。

    報告書はこちら

    寄付講座について詳しくはこちら

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