国際連携

ILO・JCA共催ウェビナー「社会的連帯経済(SSE)でつながる。」を開催しました(12月16日)

 JCAは12月16日、ILO駐日事務所と共催で「社会的連帯経済(SSE)でつながる。」をオンラインで開催しました(約200名参加。厚生労働省・日本ILO協議会後援)。

SSE(Social & Solidarity Economy)は国際的に注目を集めている概念ですが、ILOによる公式な定義はまだありません。社会的経済に関するILO地域会議「世界危機へのアフリカの対応」(2009年10月)では、SSEを「経済的・社会的目的を追求し、連帯を育みながら、財・サービス・知識を生産するという特徴を持つ企業や組織、特に協同組合、共済、協会、財団、社会的企業を指す概念」としています。

 今回のウェビナーでは、SSEをめぐる国内外の動向、日本における実践報告を通じてSSEについて学び、理解を深め合いました。

 はじめに、高﨑真一ILO駐日代表の開会の挨拶、シメル・エシムILO本部協同組合ユニット長のビデオメッセージがありました。

 つづいて、ユルゲン・シュベットマン氏 (元ILOコープユニット長&パートナーシップ・現地支援局長、現コンサルタント) からは世界における、伊丹謙太郎氏(法政大学大学院連帯社会インスティテュート教授)からは日本国内における、SSEについての現状と課題についての講演がありました。

 その後、4名のパネリストによるパネルディスカッションが行われました。パネルディスカッションでは、4氏からそれぞれ自組織の取り組み状況を報告した上で、青竹豊氏(JCA常務理事)から常深孝仁氏(株式会社ボーダレスジャパン)へ、兼松文子氏(徳島県労働者福祉協議会常務理事)から野老真理子氏(大里綜合管理株式会社 代表取締役会長)へ質問がなされました。常深氏は「当初は創立者2人でがんばっていたが、資金難に陥るなど苦しく、それならば多くの社会起業家を支援するプラットフォームを立ち上げようということで、この会社を立ち上げた。」「今では、例えばホームレスに寮付きで仕事を紹介する事業を累計300人以上に提供し、行政からの助成金なしでしっかり黒字化している会社も、支援した会社のなかから生まれている」という紹介がありました。また野老氏からは「社員が日常的に地域ボランティアを行っているが、地域が元気になれば当社も元気になるとの思いで行っています。社員のリクルートも厳しい営業も行わなくても、小さな会社だが立派に成り立っています。」との話がありました。青竹氏は報告で「協同組合らしさを追求する努力の積み重ねがSSEにつうじるのではないか」と述べました。

 最後に、JCA比嘉政浩専務理事が、今回のウェビナーの成果を今後に活かしたいと閉会の挨拶をしました。

(注)ILO:国際労働機関。労働者の労働条件と生活水準の改善を目的とする国際連合の専門機関。1919年に創設。本部はスイス・ジュネーヴ。加盟国は187ヶ国。1920年には協同組合部(コープユニット)を置くなど協同組合との関係が深い。

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2021年12月22日追記
ILO駐日事務所のウェブサイトに、当日録画と質問への回答リンク付きウェビナー報告記事が公開されました。

 ILO駐日事務所のウェブサイトはこちら

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2022年2月1日追記
ILO駐日事務所のウェブサイトに、報告書「⽇本における社会的連帯経済の現状と課題−12 の事例で考える−」が掲載されました。
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共催者挨拶をする高﨑真一氏(国際労働機関(ILO)駐日代表)
「世界における社会的連帯経済(SSE)の潮流と ILO の取組」を講演するユルゲン・シュベットマン氏
「日本における社会的連帯経済(SSE)の現在と未来を考える」伊丹謙太郎氏(法政大学大学院教授)
パネリストとして報告する青竹豊(JCA常務理事)