協同組合とは

協同組合の概要

 協同組合は、共通のニーズや願いを持った人同士が自発的に集まって、事業を通してそれを実現する組織です。出資金という形で自分たちで元手を出し合い、組合員となって事業を利用し、組合員として運営にかかわっています。

 このように出資者であると同時に、事業の利用者でもある組合員が、組織の運営にもあたっている協同組合では、組合員の民主的な参画を大切にしています。多くの協同組合で運営の基本方針は総会、あるいは、総代会で決めて、日常的な運営は理事などの組合員代表が行なっています。組合員は出資金の額にかかわらず、一人一票の議決権を持っています。これは、株式会社とは異なる協同組合ならではの運営方法です。

世界に広がる協同組合

 協同組合は、19世紀にイギリスで始まり世界各地に広がりました。世界の協同組合が集う国際協同組合同盟(ICA)には、112か国から318の協同組合が加盟しており、加盟組織の組合員の総数は10億人に及びます。(2022年6月時点)

 ICAは、1937年のパリ大会で、協同組合の運営の基本原則を「協同組合原則」として定めました。その後1966年の改定を経て、1995年にイギリス・マンチェスターで開催された100周年記念大会で、協同組合の定義・価値・原則が盛り込まれた「協同組合のアイデンティティに関するICA声明」が採択されました。この原則は、国際機関の指針や勧告、各国の協同組合法に大きな影響を与えています。(原文はこちら)

【関連リンク】協同組合のアイデンティティのページ

日本の協同組合の現状

 日本では、協同組合に延べ1億820万人超(注1)が組合員として加入しています。業種は農林水産業・購買・金融・共済・就労創出・福祉・医療・旅行・住宅など多岐にわたり、事業収益は26兆7千億円(注2)にもなります。

 農業協同組合、漁業協同組合、森林組合、生活協同組合がよく知られていますが、他にも中小企業等協同組合法にもとづく中小企業の協同組合や、金融の協同組合である信用金庫、信用組合、労働金庫があります。また、組合員自身が組合の事業に従事する、ワーカーズ・コレクティブ、ワーカーズコープとも呼ばれる労働者協同組合も近年、活発に作られています。このように協同組合は様々な分野で活動しています。

  • (注1)各種協同組合の組合員数の合計(複数加入者は重複して計上)(2021年統計)
  • (注2)各種協同組合(連合会含む)の「事業収益」「供給高」を集計(2021年統計)

【関連リンク】JCA会員組織

国際協同組合年について

 国連が「一年間を通じて、平和と安全、開発、人権/人道の問題など、ひとつの特定のテーマを設定し、国際社会の関心を喚起し、取り組みを促すため」に「国際年」を制定しています。国連はその一環として2023年12月の「社会開発における協同組合」と題する総会決議のなかで、2025年を2012年に続き2回目の国際協同組合年(International Year of Cooperatives=IYC)とすると定めました。

 上述の国連総会決議では、すべての加盟国に対し、「協同組合を促進し、持続可能な開発目標の実施と社会・経済開発全体に対する協同組合の貢献に対する認知を高める方法として、「国際協同組合年」を活用することを促す。」としたうえで、協同組合の人間らしい雇用の創出、貧困と飢餓の解消、教育、社会的保護、金融包摂、手頃な価格の住宅、包摂的な社会の構築などへの貢献を支援することを求めています。

 JCAに結集する協同組合全国組織はIYC2025を、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた協同組合の取り組みをさらに進め、協同組合に対する認知を高めていく絶好の機会と捉え、協同・相互扶助の志を基に地域課題の解決に力を尽くされている組織とともに、2024年7月に2025国際協同組合年全国実行委員会を立ち上げ、取り組みを進めています。

【関連リンク】2025国際協同組合年ウェブサイト

ユネスコ無形文化遺産への登録

 2016年11月、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)は、ドイツ政府からの提案に基づき、「協同組合において共通の利益を形にするという思想と実践」を「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に登録しました。決定にあたってユネスコは、協同組合を「共通の利益と価値を通じてコミュニティづくりを行うことができる組織であり、雇用の創出や高齢者支援から都市の活性化や再生可能エネルギープロジェクトまで、さまざまな社会的な問題への創意工夫あふれる解決策を編み出している」としています。ユネスコ無形文化遺産への登録は、全世界で展開されている協同組合の思想と実践が、人類の大切な財産であり、これを受け継ぎ発展させていることを、国際社会が評価したものです。

【関連リンク】「協同組合の思想と実践」ユネスコ無形文化遺産登録のページ

持続可能な開発目標(SDGs)と協同組合

 2015年に開催された「国連持続可能な開発サミット」で「我々の世界を変革する 持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。ここでは「誰一人取り残さないこと」が基本理念として掲げられ、人間、地球及び繁栄のための行動計画として、宣言および目標が掲げられました。この目標が17の目標と169のターゲットからなる「持続可能な開発目標(SDGs)」です。この中で協同組合は、SDGs達成にあたり役割を果たすべき民間セクターの一つとして明記されています。

 日本政府のSDGs実施指針(2019年改訂版)にも、共助の精神で人間らしい社会づくりに努力してきた協同組合への期待が述べられています。また、各地の様々な協同組合の実践が評価され、2022年5月より、政府の「SDGs推進円卓会議」の民間構成員に、協同組合からも参加しています。

【関連リンク】協同組合とSDGs
SDGs実施指針改定版