県段階の協同組合間連携の実態について

全国初。コープさっぽろと苫小牧信用金庫が協同し、ATMを搭載した移動販売車の運行を開始しました。

 2022年10月25日から、生活協同組合コープさっぽろ(以下コープさっぽろ)と苫小牧信用金庫(以下苫信)はコープさっぽろパセオむかわ店を母店に運行する移動販売車に苫信のATMを搭載した新型の車両を導入し、胆振・日高地区で走らせています。

ATM付 移動販売車「パセオむかわ1号車」

 コープさっぽろでは買い物が困難な過疎地でも便利に買い物ができるようにと2010年から移動販売車の運行をはじめ、現在135市町村で95台の移動販売車を運行しています。

 一方、苫信は人口減少などを背景に支店をピーク時の33店舗から28店舗に減らしていて、今回ATM付移動販売車を運行する日高町(毎週金曜日巡回)では、人口が1200人しかなく支店の存続が厳しくなったことから2020年3月に支店を廃止、ATMだけ残すことも検討しましたが、維持管理会社が対応できないとしてATMも残すことが出来ませんでした。

左がATMコーナー、右が販売コーナー。完全に分離している

 不便を指摘する声がある反面、支店が撤退して2年が経過しても利用者の解約件数は少なく、地域にとって身近な金融機関であり続けているいる状況を鑑みて、利便性確保の方策を検討していたところへコープさっぽろより移動販売車にATMを搭載する提案を受け、提案から8カ月3tトラックに商品約1000品目とATMを搭載した移動販売車が誕生しました。

 移動販売車は特別に設計した特注車で車両の費用はコープさっぽろ、ATMおよび周辺機材は苫信が負担し、移動販売+ATM搭載車が完成。搭載ATMも支店などにあるATMと同じフルスペックで、入出金に加えて、通帳記入や通帳繰り越しも出来ます。特に記帳ができることが利用者の一番の要望事項であり重要なポイントです。苫信と苫信の提携する信用金庫の手数料は無料、110円の手数料を支払えば信金以外の金融機関も利用できます。

 コープさっぽろの職員が移動販売車の運転と商品の供給(販売)を担当し、苫信の職員も同乗し、ATMの操作に慣れない高齢者でも利用できるよう利用者に寄り添います。

 この移動販売車は火曜日から土曜日運行され、平取町、むかわ町、厚真町、日高町の営業場所を巡回しています。

 全国の金融機関でも、過疎地域に向けてATMを搭載した車両を運行する取り組みを行っているケースはありますが、移動販売車にATMを搭載して買い物支援と金融支援を行うのは全国でも今回が初めてのケースだといいます。

 コープさっぽろの大見英明理事長は「今回の取り組みで、経験、学習を積み、他の信金にも声を掛けて、全道で買い物支援と金融支援ができるモデルを広げていきたい」と話しています。

 苫信の小林一夫理事長は「買い物支援と金融機関へのアクセス支援を同時に実現する画期的な取組みで、大きな意義がある。人口減少、高齢化に直面している地方を金融面から支えるために、コープさっぽろと協力しながら事業を進めたい」と語っています。

ATM付移動販売車運行表 日高地区は毎週金曜日に巡回

生活協同組合コープさっぽろホームページより転載

 

コープさっぽろの移動販売車について

通常は大型冷蔵・冷凍ケースを搭載した2tトラックに鮮魚・精肉・野菜・果物・惣菜・食品・飲料・日用品等、約1000品目を積み込み、過疎地域など買い物がこんなな地域や高齢者施設等を火曜日から金曜日まで決められた営業場所を巡回して商品を供給する事業。店舗を拠点にし、ドライバーは店舗から必要な商品を調達して積み込み巡回し、生鮮食料品以外の売れ残った商品は店舗に戻し販売するためロス率が少ない。