国際連携

グローバル社会的経済フォーラム・ビルバオ2018に参加しました。

日本協同組合連携機構 常務理事 青竹 豊

 グローバル社会的経済フォーラム(GSEF)2018が、10月1日から3日、スペイン・ビルバオ市で開催され、GSEF2018ビルバオ大会日本実行委員会の呼びかけで参加しました。大会には84か国から、社会的経済(注1)に関わる非政府組織(協同組合、社会的企業や事業体、市民組織など)、政府や自治体関係者、国際組織(ILO、OECDなど)、研究者など1700人が参加しました。

 大会のテーマは「包摂的で持続可能な地域創生への価値と競争力」。大会では、以下の発言があり、社会的経済(SE)への関心の高さや期待が語られました。
 「一人ひとりが主人公、誰も置き去りにしない経済が目標」(ビルバオ市長)
 「バスク州では政府として社会的企業を支援している」(スペイン・バスク州大臣)
 「事業を持続可能なものにしていくため、協同組合主義でしかも競争力がなければならない。協同組合のメンタリティ、イノベーション、協同が大切。協同組合間協同、外部の企業や行政との協同も大切」(モンドラゴン協同組合会長。注2)
 「皆置かれた社会状況が異なるので、GSEFで情報や経験を交流していきたい」(パク・ウォンスン・ソウル市長、GSEF共同議長)
 「富が平等に配分されるよう、協同組合をはじめSEを強化していく必要がある」(国際協同組合同盟会長)
 「循環型社会(エコシステム)をつくる上で政府や自治体の政策と連携していることが大切。OECDに持って帰りSE関係者やEU委員会とも連携していきたい」(OECD担当者) (以上の発言は同時通訳から筆者が要約したもの)

 最終日には、「包摂的で持続可能な地域開発のための価値と競争力」という宣言が発表されました。

 大会後の視察で、モンドラゴン協同組合グループ、ビルバオ市にある労働者協同組合dot.s.coopなどを訪問しました。dot.s.coopは、若者11人が顧客企業の新戦略コンサルティングや新商品デザインを提供しており、国際的な大企業とも仕事をしているとのことで、可能性の大きさを感じました。

 協同組合もSEの有力な一員です。日本の協同組合も、自然環境や社会的弱者のため多くの取り組みを進めています。それらを踏まえ、SEとの関わりについて改めて考えてみる必要があると思われました。

(注1) 社会的経済(SE)とは、「人間、市民、個人を中心にした経済のことであり、経済に社会という視点を埋め込み、経済が抱える問題を規制・解決していこうというもの」(今村肇・東洋大学教授、『農林金融』2012年9月号)。SE志向を持つ協同組合や社会的企業などの事業体やその活動を指す。GSEFは、各国のSEに関わる自治体や関連者のネットワーク組織(事務局はソウル)。
(注2)モンドラゴン協同組合は、労働者協同組合のグループで、金融・工業・小売・ナレッジの4部門で約100の協同組合・企業に8万人が働く。海外にも展開。スペイン・バスク州モンドラゴン市に本部。詳しくは『にじ』2013年夏号から2014年春号の石塚秀雄氏の連載を参照。     

GSEF大会の全体会/モンドラゴン協同組合グループ本部/ビルバオ市の労働者協同組合dot.s.coop