お知らせ

「食を通じた地域貢献活動」・「食品ロス削減」等に関する調査結果についてプレスリリースしました。

 平成30年12月26日JCAは、「持続可能な食と農の実現に向けたJAの調査結果」をプレスリリースしました。内容については以下のとおりです。

持続可能な食と農の実現に向けたJAの調査結果の公表(要旨)

  • 食を通じた地域貢献活動として約7割のJAが「地場食材を学校給食等に提供」
  • 食品廃棄物の深刻な問題に対し約7割のJAが「食品ロス削減」に取組む
  • 持続可能な食と農の実現に向け約6割のJAが「SDGs」を事業に取り込む意向

 食と農を基軸とする地域に根ざした協同組合として、地域貢献と経済活動の相乗効果を生み出す事業の発展に取組むことが重要ではないか。

 日本協同組合連携機構は、全国農業協同組合中央会から受託し、全国のJAに対し「食を通じた地域貢献活動」・「食品ロスの削減」・「SDGs」に関するアンケート調査を実施しました。このたび、調査結果がまとまりましたので下記のとおりご報告いたします。

■問い合わせ先
一般社団法人日本協同組合連携機構 協同組合連携部 食農チーム 担当:加藤 美紀

「食を通じた地域貢献活動」・「食品ロスの削減」・「SDGs」に関するアンケート調査結果

(1)調査の目的

 わが国では、食べられるにも関わらず廃棄される食品「食品ロス」が年間646万トン発生しており、環境負荷の観点から問題視されている。また、この食品ロスに占める農産物の割合は一定程度あると考えられ、環境負荷だけでなく、収入機会の損失、生産効率性の低下、生産意欲の減退など様々な損失につながっていると考えられる。
 今後かつてないスピードで進行する国際化・グローバル化への対応や我が国の食料安全保障を確立するため、JAグループは「持続可能な食と地域づくり」を進めている。「食品ロスの削減」はその「持続可能な食と地域づくり」の重要な柱の1つである。また、こうした「食品ロスの削減」にかかる取組みをはじめ、農業、農村ですでに行われている「食を通した地域貢献活動」には食料や地域に持続可能性が求められる昨今、大きな注目が寄せられている。
 また、SDGs(持続可能な開発目標)に通ずる事業・取組みの実践が問われる中で、JAグループは重要なステークホルダーとして大きな期待を担っている。そこで、JAグループですでに行われている活動や「食品ロスの削減」「SDGs」に関する意識等を把握し、さらなる事業展開と価値創造をめざし、本調査を実施する。

(2)調査方法
  1. 調 査 名:「食を通じた地域貢献活動」・「食品ロスの削減」「SDGs」に関するアンケート調査
  2. 調査方法:郵送による発送・回収
  3. 調査期間:平成30年10月〜11月
  4. 調査対象:全国のJA
  5. 調査項目:(1)食を通じた地域貢献活動 (2)食品ロスの削減 (3)SDGs について
(3)回収状況
  1. 回収数:302票(白票・無効票:0票)
  2. 有効票数:302票
  3. 有効回収率:46.7%
(4)要約

 今回のアンケートでは、全国の646JAを対象に、「食を通じた地域貢献活動」・「食品ロスの削減」・「SDGs」について調査しました。配布から回収までの日数が短いながらも、302JA(回収率46.7%)から回答を得ることが出来、上記調査テーマに関する関心の高さがうかがえます。

 食を通じた地域貢献活動として「地場食材を学校給食等へ提供」との回答が74.5%でした。また、「福祉施設、こども食堂などへの農産物提供」も23.0%が取組んでおり、社会的課題である子どもの食の格差問題などへの対応も一部のJAで始まっています。
 一方で、こうした食を通じた地域貢献活動の課題として、「体制整備が不十分」48.3%、「メリットが不明確で事業に結びつかない」30.3%と回答しています。体制整備や予算化が難しい中、効率的に実施する仕組みづくりや同じ活動をしているNPO・協同組合との連携による相乗効果の追求が重要だといえます。

 環境面で問題視されている「食品ロス削減」については、74.2%のJAで取組まれており、その具体的な内容を見てみると、「規格外品の販路確保」が57.8%、「過剰出荷にならないためのアドバイス」29.6%、「一次加工品の商品開発・販売」28.3%が上位を占める結果となりました。
 連携先として「行政」40.2%や「学校」31.8%で、公的機関との連携体制は構築されつつあります。さらに、「NPO・協同組合」や「民間小売店、飲食店」などの地域組織と連携することで、食品ロスの事業領域は広がり、さまざまな社会的課題解決が可能になると考えられます。
 さらに取組みを進めるために必要な支援策として「国民運動として消費者へ普及啓発」64.6%、「支援が必要な人と提供する側をつなぐマッチング」42.1%、「加工・保存等を行う設備への支援」41.1%でした。国民の意識醸成のための仕掛けと、生鮮品ならではの課題解決が必要です。生協などとの連携による消費者への普及啓発も効果的と考えます。

 持続可能な開発目標であるSDGsの関心について、「関心がある」と回答したJAは50.0%でした。さらに事業としての活用意向について、「活用したい、活用する予定である」が56.3%でした。自然と共生した暮らしを基本とする農のいとなみ、それを支える組織であるJAと親和性が高いことがわかります。
 SDGsに対して期待する効果は、「地域社会との連携によるコミュニケーションが深化すること」44.6%、「持続可能な社会の実現へ貢献できること」42.2%でした。一方、「新たな価値創造のための有力なツール」「新たな市場開拓など将来の利益を生み出す投資」という項目への期待は低く、地域貢献と経済活動の相乗効果を生み出す事業モデルを共有することがさらなるSDGsの取組みを後押しすることにつながると考えられます。

 今後は、食と農を基軸とする地域に根ざした協同組合として、さらなる価値創造をめざし、優良事例の共有やノウハウの蓄積、事業を担う人財育成が重要です。

一般社団法人日本協同組合連携機構