政策提言・広報

「労働者協同組合法案」に賛同します。

一般社団法人 日本協同組合連携機構

 このたび、「労働者協同組合法案(仮称)」の骨子が明らかになりました。
 労働者協同組合は「働く者や市民が協同で出資し、民主的に経営に参加し、生活と地域の必要に応える仕事を自らの手でおこす「協同労働の協同組合」」です(日本労働者協同組合連合会)。これを実践する労働者協同組合は、わが国でも「ワーカーズコープ」や「ワーカーズ・コレクティブ」をはじめとして、約10万人の就労者と約1,000億円の事業規模を擁するものと推計されています。その事業は、自治体やNPOなど地域のさまざまな団体との連携のもと、福祉介護をはじめ、生活困窮者、障がい者、高齢者、働くことに困難を抱える若者の就労や生活を支援する分野などに広がりを見せています。
 その全国組織の一つである日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会は、昭和54(1979)年の設立以来40年に及ぶ歴史を持ち、当機構の社員でもあります。

 「労働者協同組合法案」は、一定の条件を満たすことにより、誰でも労働者協同組合を設立することを可能とする法律です。その目的は、(1)労働者が自ら出資し、協同して働き(「協同労働」)、一人一票の協同組合原則に則って民主的に事業の運営にも携わること、したがって各人が意欲や能力に応じて主体的に働くことを可能にすること、(2)多様な就労の機会を創出することにより、働く意志のある全ての人々を対象に、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)とワークライフバランスを実現すること、(3)地域の多様なニーズに応える事業を創出することにより、持続可能で活力ある地域社会の実現に寄与することです。

 欧米をはじめ多くの国ではすでに労働者協同組合の法律が存在しており、同法の制定は、わが国の協同組合全体にとっても画期となる出来事です。また同法が、一定の条件さえ満たせば誰でも労働者協同組合を設立することができるという「準則主義」に立脚している点は、協同組合を含む様々な団体に関する法律の中でも市民の自主性・主体性を最も尊重し得るという点で、社会的にも大きな意味を持つと考えます。
 持続可能で活力ある地域社会の実現という同法の目的は、農業者・漁業者・商工事業者・消費者などがつくる各協同組合の理念や取り組み、「持続可能な地域のよりよいくらし・仕事づくり」に貢献するという当機構の目的に合致しています。
 私たちは、「労働者協同組合法案」の趣旨に賛同し、その速やかな制定を求めるものです。同法の制定は、誰もがその能力を存分に発揮できることをめざす「一億総活躍社会」づくり、「地域共生社会」づくりに、協同組合として貢献できる可能性を大きく広げるものであり、その実現を強く期待するものです。

以上