お知らせ

第5回スピンオフ企画 広島市『協同労働のプラットフォーム』開催報告

 日本協同組合連携機構(JCA)では毎年、各都道府県の協同組合連携組織にご参集いただき、地域課題に対する取り組み事例の学習・交流会議(全国交流会議を)を開催しています。

 今年度は新型コロナ感染拡大を予防するためオンラインでの開催となり、十分な意見交換、交流が出来なかったため、その派生企画(スピンオフ企画)として、9月より毎月、全国交流会議で関心の高かったテーマを1つずつ選び、オンラインによる学習会を開催しています。

 第5回目となる今回は、1月29日(金)に「地域の課題を地域住民が解決する『協同労働のプラットフォーム』-その仕組みと可能性-」をテーマに開催しました。

 講師には、広島市「協同労働のプラットフォーム」統括コーディネータの小暮 航氏をお招きし、①働く人全員が出資し、経営を考え、働くという「協同労働」とはどういうものか、②協同労働での社会的起業を応援する広島市の協同労働モデル事業とはどんな事業か、③現在広島市内で21団体、約300人が働く協同労働の団体の活動は具体的にどういうものか、わかりやすく解説いただきました。

 小暮氏は、町内会や自治会の業務を協同労働で行う「びしゃもんだい 絆くらぶ」の事例を紹介し、協同労働は仕事を通じて住民同士が対等な関係で、「出会い直す」ことができ、さらに関係が深まり、地域の「新しい絆」となっている、そのことは「住みたくなる地域」への変化も生んでいること。また、プラットフォームは、設立支援だけでなく、共助を支える役割が大きいこと。働きやすい仕組み、働いているという感覚、サポートがあるという安心感が特徴であること、を説明されました。

 既存の協同組合が応援しているメリットについて小暮氏は「協同労働」というまだ知られていない新しい取り組みにJAや労働金庫、生協の名前が付くことで、「信用」を提供いただいているとし、協同組合連携には「信用の提供」という「協力」もあることもわかりました。

 今回、小暮氏の講演の後、法政大学大学院で「協同労働」をテーマに修士論文を書かれた日本生協連職員の虫本氏からは、「大きな協同組合」の横連携と「小さな協同」との縦連携の可能性について報告をいただき、広島市の協同労働のプラットフォームは、山積するさまざまな地域課題に対し、住民(参加主体)の持つ多様な知識・技術・労働力という複合的な資源を引き出す「地域ネットワーク型」の解決に、協同組合がうまく関わっている事例だということがわかりました。

 報告後の、約30名の参加者との質疑応答も活発で、丁寧に回答いただいたことで参加者の理解が深まり、充実した学習会となりました。

以上

日本協同組合連携機構 文珠 正也