国際連携

ジョンストン・バーチャル氏の思い出

【本年6月初めに逝去された英国の協同組合研究者ジョンストン・バーチャル氏に対して、生前親交の深かったJCA特別研究員の栗本昭が、以下の追悼文を送りました。】

 

 日本の協同組合人は、世界中の多くの協同組合や研究者に素晴らしいインスピレーションを与えてくれたジョンストン・バーチャル氏に深く感謝しています。 私たちはバーチャル氏の訃報を聞いたときの悲しい気持ちを共有しています。

 私たちはバーチャル氏が歴史的な出来事を記念して出版した『コープ:ピープルズ・ビジネス』(1994年、ロッチデール先駆者組合創立150周年記念)と『国際協同組合運動』(1997年、ICA創立100周年記念)を翻訳しました。また、国際協同組合年のきっかけの一つとなったと思われるILOの「危機の時代における協同組合ビジネスモデルの回復力」(2008年,ルー・ハモンド・ケティルソン氏との共同論文)も翻訳しました。「大規模な協同組合事業のガバナンス」に関する報告書(2017年)や、リチャード・シモンズとの共著であるコーペラティブ・グループの事例に関する論文(2014年)も翻訳されています。これらの書籍や論文は、日本の協同組合人に大きな刺激と教訓を与えました。バーチャル氏は国際的な協同組合運動に今後何十年も続く多大な貢献をしたと言えるでしょう。

 バーチャル氏は、1998年に明治大学の招きで来日し、ロバアト・オウエン協会で講演を行いました。 また、2012年には生協総合研究所の招きで、東京と京都で国際協同組合記念講演を行いました。 ICAの国際協同組合研究会議でもよくお会いしましたが,2017年にイギリスのスターリングで開催された会議の前には、グレンデヴォンの新居に招待してくれました。 しかし、私の訪問後すぐに、彼の病気のことを知らされました。バーチャル氏は時々私の質問に親切に答えてくれましたが、私たちの連絡は少なくなりました。今は、彼の心の平安を祈っています。