国際連携

ICAアジア太平洋地域会長が、国際協同組合デーに向けメッセージを発表

 国際協同組合同盟(ICA)アジア太平洋地域のチャンドラパル・シン・ヤダフ会長は、国連国際協同組合年(IYC2025)の取組みにおける、アジア太平洋地域での顕著な進展に光を当てながら、7月5日の「国際協同組合デー」を迎えるにあたってメッセージを発表しました。

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ICA会員の皆様、アジア太平洋地域理事会の仲間の皆様、協同組合の皆様

皆様、こんにちは!

 本年初めに、国連国際協同組合年(IYC)2025を、私たちの協同の歩みにおける重要な節目とするために、ともに取り組んでいただきたいとお願いしたことに続きまして、今回は、IYC 2025の4つの主要目標の達成に向けた、これまでの進捗を皆さまと共有して、ご協力をお願いするために、再度皆様にお声掛けいたします。4つの目標とは、次のものです:

 

  • 協同組合に関する社会的な認知を高めること
  • 成長と発展を促進すること
  • 支援的な政策枠組みを求めていくこと
  • リーダーシップを育み学習を奨励すること

 

 会員の皆様のご尽力と行動が示していることは、私たちは成功への道を順調に歩んでいるということです。私たちのアジア太平洋地域が、この呼びかけに、決意と創造力、そして連帯をもって応えている姿を見て、私は深い感銘を受けています。

 

 インドでは、首都ニューデリーで歴史的なIYC2025のキックオフイベントが行われ、シュリ・ナレンドラ・モディ首相は、協同組合が文化的に重要であり、インドの価値観や生活様式の基盤であると述べました。インド協同組合中央会(NCUI)および同国の ICA加盟組織の多くが、女性や若者の参加に重点を置き、1年間にわたる一連の活動を開始しました。協同組合省は、IYC 2025の活動を全国的に実施するための「全国実行委員会」を設立しました。

 マレーシアでは、起業家育成・協同組合大臣がANGKASA[1]本部でIYC 2025のキックオフイベントを正式に執り行いました。ANGKASAはまた、地域開発に対する協同組合の貢献を紹介し、国境を越えた連携を促進し、ASEAN協同組合運動の団結の精神を強調するための「ASEAN 協同組合ダイアログ」も主催しました。

 ベトナム協同組合同盟は、高品質の協同組合製品に対する「マイ・アンティ・エム(Mai An Tiem)賞」の表彰を行い、政府高官も参加して「協同組合行動月間」の幕が開けました。

 フィリピンでは、協同組合開発庁(CDA)が、全国から 5,000人が参加するパレードや連帯声明の調印式など、活気あふれる全国イベントを開催し、IYC2025を祝いました。協同組合の全国連合会であるNATCCO[2]連合は、IYC2025のテーマに沿って総会を開催しました。

 オーストラリアでは、協同組合・相互会社ビジネス協議会(the Business Council of Cooperatives and Mutuals:BCCM)が、同国の協同組合と相互会社の成果と功績を称える1年間にわたるキャンペーン「BCCMアイコンズ」を開始しました。

 日本では、IYC2025全国実行委員会と協同組合運動の働きかけにより、協同組合の振興に関する国会決議が圧倒的多数で可決されました。

 スリランカでは、協同組合省と全国協同組合協議会が参加して、コロンボで全国キックオフイベントが開催され、協同組合運動の揺るがぬ力と団結を祝いました。同国は、2025年11月に第17回ICA-AP地域会議(17th ICA-AP Regional Assembly)および関連イベントを主催する予定です。

 フィジーでは、シティヴェニ・ラブカ首相が、IYCの全国キックオフイベントで、協同組合が協力と持続可能な開発の模範となるよう呼びかけました。

 サウジアラビアでは、人材開発・社会開発省協同組合局が、協同組合部門に関する認知を高め、IYC を推進するために、王国全土で毎月地域フォーラムを開催しています。

 

 これらのイベントは、地域の実情に根ざしながら、共通の協同組合の価値によって結びついているものであり、私たちの運動の広範な影響力と重要性を再認識させるものです。各国政府のリーダーの支援を受けたこれらのイベントは、協同組合モデルに対する認識が新たに高まったことを示すものです。

 

 ICAアジア太平洋地域事務所は、日本のIYC2025全国実行委員会およびILO駐日事務所との協働により、日本でのキックオフイベントをもってこの記念すべき年の活動を開始しました。女性委員会は、NGO CSW[3] 69フォーラムでサイドイベントを開催し、協同組合における女性の重要な役割にスポットライトを当てました。ストーリーテリングと協同組合のブランディングに関する地域研修が開催され、協同組合の声を拡大し、そのストーリーを世の中の主流に広めるためのツールが会員に提供されました。

 IYC2025の期間中である7月5日の国際協同組合デー(IDC)は、「よりよい世界の実現に向け、協同組合はだれも取り残さない持続可能な課題解決をすすめます」という力強いテーマで、特別な意味を持ちます。このテーマは、私たちが何者であり、何をしているかを映し出しています。協同組合は、人、地球、そして目的をすべての活動の中心に置き、今日直面する最も喫緊の課題に対応するための固有の位置を占めています。

 皆様の揺るぎないリーダーシップ、目的意識のある行動、そして私たちの運動にもたらしてくださる連帯の精神に、深く感謝申し上げます。この勢いを、より包摂的で持続可能な未来に向けた新たな活力と共通のビジョンとともに、さらに前進させていきましょう。引き続き、協同組合運動を前進させ連携を深め、地域社会の中で、そしてそれを超えて、協同組合の多様性を誇りを持って積極的に推進していかれるようお願いいたします。

 

 感謝とともに、連帯の気持ちを込めて、

 

 

[1]【訳注】:マレーシアの協同組合全国中央組織。

[2]【訳注】:NATCCOはThe National Confederation of Cooperativesの略。全国協同組合連合会。

[3]【訳注】:NGO CSW:「女性の地位に関するNGO委員会」(NGO Committee on the Status of Women)。NGO CSWフォーラムは、国際的な市民社会、非政府組織(NGO)、およびフェミニストの主体的な運営によって成り立っており、これらの関係者が国連の公式プロセスである女性の地位委員会(UN CSW)と連携することを目的としている。
(引用元URL:NGO CS, https://ngocsw.org/ngocswforum/ (2025年6月27日閲覧))