国際連携

ICAアジア太平洋地域総会・諸会議、スリランカで開催
-地域理事選挙で日本生協連の新井会長が再選-

 2025年11月24~28日、スリランカ・コロンボで、国際協同組合同盟(ICA)アジア太平洋地域(ICA-AP)の地域総会と関連会議等が開催され、22か国から450人の協同組合のリーダー、政府関係者、研究者等が参加しました。日本からもICA会員団体から7団体22名が参加したほか、JAグループの国際協力機関であるアジア農協振興機関(IDACA)、農林水産省からも参加がありました。

 11月27日にはICA-AP地域理事会の選挙が行われ、日本生協連の新井ちとせ会長が地域理事に再選されました。

 以下は、日本のICA会員団体が参加した会議等の概要です。

 

<11月23日(日)>

 ICA-AP調査委員会による若手研究者のワークショップが行われるとともに、この日から翌24日にかけて第19回ICA-AP調査研究会議が開催されました。

 

<11月24日(月)>

 ICA-AP地域理事会が開催され、日本からは日本生協連の新井ちとせ会長が地域理事として参加しました。ICA-APの活動報告や会員の現状報告(10月時点で会員は29カ国122組織)、11月27日の地域総会の議題追加の承認等が行われるとともに、次回第18回ICA-AP地域総会が2027年10月18~22日に中国国内で開催されることが決定されました。

 またこの日、アジア太平洋協同組合開発プラットフォーム(APCDP)の主催で、「ドナー・コミュニティにおける文脈の変化-国際協同組合開発にとって何を意味するか―」をテーマとする円卓会議が行われました。

 この他、ICA-APには未加盟ですが、日本医療福祉生協連が参加し事務局を担うアジア・太平洋地域保健協同組合協議会(APHCO。日本、韓国、モンゴル、マレーシア、インド、ネパール、スリランカの保健協同組合が参加。1997年設立)の総会が、5か国6組織19名の参加のもと、この日6年ぶりに実開催され、保健協同組合の発展に向けた「APHCO特別決議」を行いました。役員選任も行われ、APHCOの会長・理事・事務局長にそれぞれ、医療福祉生協連の髙橋会長・藤原国際委員会委員・片山専務が選任されました。

 

<11月25日(火)>

 ICA-APのセクター・テーマ別委員会の機関会議やセミナーが開催されました。

 農業・環境委員会は、アジア太平洋農協開発ネットワーク(NEDAC)との共催で「アジア太平洋において協同組合を通じ、気候変動に強い、スマートで持続可能な農業をすすめる」をテーマにセミナーを開催し、インドとスリランカからの取り組み報告とともに、日本からIDACAの小林常務が、IDACAの実施する農協人材育成研修における経験をもとに報告を行いました。

 女性委員会(委員長:新井ちとせ日本生協連会長)は総会を開催し、2025年の活動報告、2026年の活動計画の承認等を行いました。その後、同委員会は、貿易・ビジネス委員会との共催でセミナー「アジア太平洋の協同組合事業における女性起業家を称えて」を開催し、ICA加盟団体等から約65名が参加しました。毛織物(インド)、絹製品(ベトナム)、観光(マレーシア)、手芸(パレスチナ)、食品加工(日本)の各分野での、協同組合に集う女性たちの取り組みが報告され、日本からはJA全国女性協の松橋久美子副会長がJA全国女性協の取り組みや地元青森県の女性組織による食品加工の取り組みを報告しました。

 生協委員会はこの日総会を行い、会員の現状報告(16カ国24組織が参加)、2025年の活動報告、2026年の活動計画(研修・ワークショップ・セミナー等を実施)承認等を行いました。役員選挙も行われ、委員長に韓国iCOOPのシン理事長が選任されるとともに、日本生協連の天野晴元国際部部長スタッフが副委員長の1人に選任されました。

 教育機関協同組合委員会(ICEI。委員長:武川正吾全国大学生協連会長)はこの日年次会議を行い、2026年の活動計画についての協議・承認等を行いました。役員選任では、全国大学生協連国際担当のディナ・ファオジアさんが共同幹事となりました。各国からの報告も行われ、日本の全国大学生協連奨学財団(たすけあい奨学制度)の報告には参加者から高い関心が寄せられました。

 ICAの労働者協同組合のセクター組織であるCICOPAのアジア太平洋地域組織CICOPA-AP(会長:中野理日本労協連専務補佐)は、6カ国8団体の参加により会合を行い、これまで1年間の活動の共有を行ったあと、労働者協同組合とケア・エコノミーに関して議論を行いました。

 また、アジア・太平洋地域保健協同組合協議会(APHCO)では、この日、スリランカの2か所の協同組合病院(西部州のガンパハ協同組合病院、北西部集のクルネガラ協同組合病院)を視察しました。

 

<11月26日(水)>

 第12回協同組合フォーラムが「協同組合はよりよい世界を築く-強靭性の強化、資本の維持、洗練されたコミュニケーション」をテーマに開催されました。

 参加者は、全体会での基調講演、全体会・分科会での事例報告などを通じ、アジア太平洋地域のより強靭で持続可能かつ包摂的な未来に、協同組合がどう力を発揮していくかを学び合い、その成果は「コロンボ宣言」(英文和訳)として起草され、翌日の総会で採択されました。

 日本からは、IYC2025全国実行委員会のメンバーであるコープ共済連の笹川博子理事長が、日本におけるIYCの取り組みを報告しました。

 

<11月27日(木)午前>

 この日の午前はICA-AP地域総会が行われ、女性委員会・青年委員会の代表が地域理事会に議決権を持って参加できるようにする規約改正の承認、2025年の活動報告、2023~2024年財務報告の承認、ICA-AP戦略計画2026~2030の承認、前日の協同組合フォーラムの成果をまとめた「コロンボ宣言」の採択が行われました。

 ICA-APの活動報告では、ICAが日本の農林水産省からの40年にわたる支援のもと実施している農協人材育成研修について、また、その一環として日本のIDACAが実施する実践的な研修について詳細な報告がなされ、活動報告を行ったバル・アイヤー事務局長は「長年の支援は農林水産省だけでなく日本政府全体が研修の重要性を理解しているがゆえ」と感謝し、「充実した研修を継続できるように日本の会員と努力していきたい」と述べました。

 その後、ICA-APに設けられた9つのセクター・テーマ別の委員会からの活動報告が行われました。

 日本からも、教育機関協同組合委員会の活動報告を同委員会議長の全国大学生協連の武川会長と同委員会共同幹事のファオジアさんが、女性委員会の活動報告を同委員会委員長の日本生協連の新井会長が、またCICOPA-APの報告を会長を務める日本労協連の中野専務補佐が、それぞれ行いました。

 

<11月28日(木)午後>

 この日の午後には、ICA-AP地域理事・会長・副会長の選挙が行われ、12人の候補のなかから、次期2025~2029年の理事を務める11人が選出され、そのなかから会長と副会長が選任されました。

 2016年からICA-AP理事を務め、今回も理事選挙に立候補した日本生協連の新井会長(JCA副会長)は、12人の候補のなかで第4位の155票を獲得し、地域理事に再選されました。

 会長にはインドのチャンドラパル・シン・ヤダフ氏、副会長には、中国のアディリ・ウブリ氏とマレーシアのアブドゥル・ファタ・アブドゥラ氏がいずれも再選されました。

 新たな会長・副会長・理事は以下のとおりです(国名アルファベット順)

 

<11月28日(金)>

 この日は、西部州のガンパハ地域のアタナガラ多目的協同組合(Athanagalla Multi-Purpose Cooperative Society Ltd.)を訪問しました。組合員が98,000人、職員250人の同協同組合は、生活用品の購買事業(店と移動販売)、ガソリンスタンド、金融、医療、葬儀、幼稚園など多様な事業を展開しています。本部で概要の説明を受けたあと、同協同組合が運営する病院を訪問しました。

APHCO総会・開会セレモニー(11月24日)
農業・環境委員会主催セミナーで報告するIDACA小林常務(11月25日)
女性委員会・貿易ビジネス委員会合同セミナーで報告する松橋JA全国女性協副会長(11月25日)
協同組合フォーラムで報告するコープ共済連笹川理事長(11月26日)
地域総会で報告する全国大学生協連の武川会長とファオジア国際担当(11月27日_)
地域総会で報告する日本労協連の中野専務補佐(11月27日)
地域総会で報告する日本生協連の新井会長(11月27日)
地域総会での採決(11月27日)

 
当選した地域会長・副会長・理事(11月27日)
多目的協同組合の本部を訪問(11月28日)
多目的協同組合が運営する病院を訪問(11月28日)