県段階の協同組合間連携の実態について

長野県で今年最後の「ふれあい農園」が開催
~生産者と消費者の交流を通じた食育の取り組み~

 2025年11月29日(土)、長野県安曇野市において、JAあづみとコープながのによる「ふれあい農園」が開催されました。

 「ふれあい農園」は、消費者であるコープながのの組合員が、生産者であるJAあづみの組合員と交流しながら、畑づくりから、定植・種まき、生育管理、収穫までの一連の農作業を体験する交流事業です。毎年5月から11月までの隔週土曜日、年間15回ほどの体験と交流会をあわせたプログラムとして継続して実施され、今年で31周年を迎えます。

 今年最後の開催となったこの日は、コープながのの組合員約30名、JAあづみの女性部・青壮年部約10名、そして職員・事務局など約50名が参加しました。参加者は、野沢菜、大根、長ねぎ、白菜を収穫し、特に野沢菜の切り漬けづくりに取り組みました。

 収穫した野沢菜は、根元のカブを切り落とした後、穂高温泉郷から汲んできた温泉水で丁寧に洗いました。冷たい水での作業は大変ですが、温泉水は温かいだけでなく、野沢菜が柔らかくなり、味が染み込みやすくなるという利点があります。参加者は、細かな土まで綺麗に洗い、食べやすい大きさに切って、薄口しょうゆ、お酢、ザラメなどの調味料と一緒に漬け込みました。この切り漬けは涼しい場所で保管し、2~3日で食べ頃になります。

 完成した野沢菜の切り漬けと収穫した野菜、そして切り落とした野沢菜の根元のカブも、参加者全員で分け合って持ち帰りました。

 子どもたちにとっては、野沢菜にカブがついていることや、そのカブも食べられることを知る貴重な学びとなりました。JA女性部の方からは、「昔はどこの家でも野沢菜を漬けていたが、今は少なくなってきている」という話もあり、この農園が地元の食文化を伝える場にもなっていることが感じられました。

 来年の開催に向けては、2026年3月に冬の交流会を開催し、そこで参加者からの意見をもとに、どんな野菜を育てるかを決めていく予定です。

 参加者の中には10年近く毎年参加しているリピーターもおり、かつて子どもの頃に参加していた人が、親となって自分の子どもとともに参加するケースも見られます。親子で楽しみながら農業を体験できる場、食農教育の場、そして地域の交流の場として、「みんなで運営するふれあい農園」の取り組みが、これからも長く継続していくことが期待されます。

収穫の様子
収穫の様子
温泉水で野沢菜を洗う
野沢菜の入った漬物袋に調味料を投入