国際連携

協同組合を創り地域の交流拠点を守る英国住民
-第3回「協同の縁」交流会、パブの協同組合と交流-

 2025年12月9日、閉店したAコープやJA支店を活用して地域活性化に取り組む団体のネットワーク組織「『協同の縁(えにし)』プロジェクト」が、英国でパブを運営する協同組合を迎えて、第3回交流会をオンラインで開催し、JCAも地域と協同の研究センターとともに後援しました。

 今回英国から参加したのは、マンチェスター近郊、協同組合発祥の地の一つであるロッチデールからも近い町ヘブデン・ブリッジで地域住民の交流拠点となるパブを運営する協同組合「フォックス&グース」です。

 フォックス&グースは、19世紀にはその名前が登場する歴史あるパブですが、2012年にオーナー経営者の女性が体調を悪くしてパブ経営から引退することになり、建物は担保物件として銀行の手に移ってしまいます。しかし、貴重な地域住民の交流の場であるパブを守るため、常連客は2013年に協同組合(法人格:コミュニティ利益組合)を設立します。そして、259人から合計13万ポンドの出資(一人ひとりの出資額は100ポンドから15,000ポンドまでさまざまだが平均約500ポンド。当時のレートで約7.5万円)を集め、銀行から建物を買い取って改修し、2014年3月に新たに協同組合のパブとして運営を開始しました。ウェスト・ヨークシャー地方で初めての協同組合運営のパブです。

 交流会には、英国からフォックス&グースで事務局長を務めるマーク・シモンズさんが参加し、日本側からは「協同の縁」プロジェクトに参加する3つの組合員・住民組織のメンバーや、各組織の地元JAの関係者、各地の協同組合関係者ら約40名が参加しました。3つの組合員・住民組織は、JAひだ「SUN・SUN会」(JAのAコープ朝日跡「SUN・SUNハウス」で活動)、JA愛知東「地域ささえ愛組織」(JAの高齢者事業を担い、弁当宅配や家事支援などを行う)、JAグリーン近江管内の「桜谷地域農村RMO推進協会」(桜谷農村RMO。JAの旧日野北支店を活用して、農用地保全、地域資源活用、生活支援などの取り組む)です。

 交流会では、冒頭「地域ささえ愛組織」から、「地域課題解決の糸口を見つけるため、英国との交流会を企画した」との開会挨拶があり、その後、開催の経緯(2025年7月のICAマンチェスター総会にJCAが参加した際にフォックス&グースを訪問してつながりが生まれ、交流会開催に至った)についてJCAが説明しました。

 続いて「SUN・SUN会」から、日本の地域課題、「協同の縁」プロジェクトの理念と目標、地域課題の解決に取り組む「SUN・SUN会」「地域ささえ愛組織」「桜谷農村RMO」の活動報告が行われました。

 そのあと、マークさんからフォックス&グースの取り組み紹介(動画も活用)があり、続いて質疑応答と意見交換が行われました。これらを通じ、英国におけるパブの位置付け、フォックス&グースの設立経緯、組合員や資金の状況、コミュニティとの関わり、従業員の雇用、参加するネットワークなどについて、マークさんから詳しく説明がなされました。

 まとめでは、地域と協同の研究センターから「コミュニティの場の維持と再生」「地域からの資金調達」「人びとの持つ力を活かすこと」が日英共通の重要事項であることが述べられ、最後に、次回開催地のJA愛知東から、次回交流会の紹介があり閉会しました。

 閉店の危機にあるパブを、住民が自ら協同組合をつくり、お金を出し合い、買い取って運営するというフォックス&グースの取り組みは、「協同の縁」プロジェクトに参加する各組織の「組合員・住民が主体となって地域の課題を解決する」という取り組みと共通するもので、パブの賑わいを取り戻した英国の人たちの取り組みに刺激を受けた参加者も多かったと思われます。

 次回の『協同の縁』交流会は、2026年5月29・30日、愛知県新城市で行われる予定です。

英国と日本から約40名が参加
交流会のホスト会場(名古屋市のコープあいち生活文化会館)
滋賀県日野町のサテライト会場

 

フォックス&グースの建物正面
フォックス&グースの壁面には「協同組合パブ」の文字が
老若男女がフォックス&グースに集う
日曜の午後、賑わうフォックス&グースの屋外席

 

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