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自主・自立の協同組合として(にじ 2015年 春 No.649 オピニオン)

自主・自立の協同組合として

比嘉 政浩
にじ 2015年 春 No.649

JA中央会制度の廃止
 2月9日、自民党が「農協改革」につき、「法制度等の骨格」を取りまとめ、今国会での農協法改正法案の「骨格」がほぼ決定されました。現在のJA中央会の規定は農協法から削除、JA全中は一般社団法人化、監査機能は外出しされ、新たに公認会計士法に基づき監査法人が設立されます。JA県中央会は連合会になり、JAや連合会が他の法人格に転換「できる」規定が設けられます。JAの理事は過半数が原則として認定農業者や農産物販売・経営のプロとする規定を置くとされました。

 また、急浮上した准組合員の利用量規制については今回免れ、「5年間の利用実態・農協改革の実行状況の調査を行い慎重に判断」とされました。JAグループがこれを重視したためですが、見方によっては、政府が取引材料として活用したようにも見えます。

 

組合長は「縛られていない」と回答
 JA中央会制度廃止の理由は「JAの自由な経営を縛っているから」。しかし、1月の日本農業新聞によるJA組合長アンケートでは「中央会がJAの自由な経営を阻んでいるとは思わない」と95%の組合長が回答しました。政府がJA中央会制度廃止にこだわったのは、JAグループ全体の代表機能を低下させ、政治的な発言力をそぐためと受けとめています。

割り切れぬ思い
 悔しい思いをしました。今もそうです。JA全中の監査は農業者の所得増の妨げだと喧伝される。そんなわけないでしょう。何のために「妨げ」るのですか? 賦課金を集めるために?

 もし、そこにフォーカスしても農業者の所得増は賦課金確保に有利なはず。JA全中のホームページでは業務監査の結果事例を毎年度公表しています。どの監査意見が農業者の所得増を妨げたのでしょうか。あまりにひどい論立てです。

 

それでも前を向きたい
 それでも・・・何とか前を向きたい。苛立ちが足踏みにつながることを何としても避けたい。
 協同組合の自主性を否定する政府の態度は容認できません。協同組合全体で危機感を共有し、改めて発信したい。役員の要件を政府が決めるなどおかしい、と声をそろえたい。

 JA綱領は「われわれは素晴らしい組織だ」というPR文ではありません。「難しいが挑戦します」「めざします」という宣言文です。地域の農業を振興し、わが国の食と緑と水を守りましょう。環境・文化・福祉への貢献を通じて、安心して暮らせる豊かな地域社会を築きましょう。

 こうした取組みが可能となるよう、変えられてしまう新しい制度を精一杯運用しましょう。
 この努力こそがわれわれの誇りの源ですから。