国際連携

ICAが協同組合のアイデンティティ(定義・価値・原則)に関するウェビナーを開催

 

 2022年5月13日、国際協同組合同盟(ICA)は、協同組合のアイデンティティ(定義・価値・原則)をテーマにオンラインでのセミナー(ウェビナー)を開催し、世界から300人以上が参加しました。

 このウェビナーは、昨年12月のICAソウル大会を起点とする協同組合のアイデンティティに関する世界的な協議の一環として行われたものです。

 ウェビナーはICAグアルコ会長からの、協同組合はSDGsにふさわしい事業体であり協同組合のアイデンティティとSDGsの密接な関係を示すことが重要、との開会挨拶でスタートしました。

 第1部はソウル大会の成果の確認でした。以下の点が確認されたことが述べられました。

  • 協同組合が社会的目的を持ち、人を中心に置き、地域に根差し、民主的に運営される事業体であり、共通の価値や原則に導かれ、協同組合が地域や世界に求められる変化をリードする存在であるという協同組合の本質。
  • 協同組合が、人びとのニーズへの公平・平等な対応、文化に根差した教育や研修、人間らしい仕事に価値を置き、倫理的なサプライチェーン、将来世代のための持続可能な地球の実現を目指していること。
  • 協同組合が、包摂的な社会と経済、困っている人を助ける意欲、困難を前にした相互扶助、平和、持続可能な開発などを世界に持ち込んでいること。

 併せて、大会で浮かび上がった以下の課題も報告されました。

  • 外的課題として、気候変動への実践的方策を見出すこと、新技術への対応、資本調達、調査・研修・教育の財源確保、国際社会で存在感を示すこと、社会的連帯経済(SSE)との関係構築。
  • 内的課題として、閉鎖的な運営の克服、不平等の解消、政府の統制や干渉を取り除くこと、働く場での不当な行為に対する毅然とした指針、協同組合ブランドの強化、協同組合の価値と原則に関する議論の継続。

 第2部は、ソウル大会を起点にICAが開始した協同組合のアイデンティティに関する世界的な協議に関して説明が行われました。まず、協議の目的として、協同組合のアイデンティティへの理解を深めること、それに沿った行動を促すこと、その有効性を検証すること、等が挙げられました。また、協議における実施事項として、ソウル大会の成果の確認、会員アンケート、文献収集、ウェビナー、オンライン協議、ICA理事会のもとに設けられた協同組合アイデンティティ諮問グループでの検討とICA理事会への提言、総会での議論や決定、などが示されました。

 第3部では、協同組合のアイデンティティを反映した国際労働機関(ILO)の「協同組合の促進に関する勧告」(第193号)、協同組合をその主要な担い手とする社会的連帯経済(SSE)についてILOが今年3月に発表した報告書、ウルグアイにおけるILO第193号勧告の適用の状況、について報告されました。

 最後にICA事務局長が、協同組合のアイデンティティ(定義・価値・原則)を持つことが協同組合の強みであること、2002年のILO第193号勧告で協同組合のアイデンティティが認められたことが協同組合の大きな飛躍となったこと、協同組合は安定と変革の両方をもたらすこと、ソウル大会はそうした協同組合の多面性を示したこと、協同組合のアイデンティティにはさらに大きな可能性があること、を述べ、ウェビナーは閉会しました。

 

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